平成28年度確定申告が変わる!マイナンバー制度導入初年度はこうなる

平成28年度確定申告が変わる!マイナンバー制度導入初年度はこうなる

マイナンバー制度が適用される初めての確定申告

平成28年にマイナンバー制度が導入されました。これによって、平成28年度分からの確定申告が少し変わります。

そもそも、マイナンバー制度とはなにか。国民個人個人や法人に個別の番号を割り当てて、所得や税などの情報を行政機関で共有できるようにするための制度です。所得や税に関する情報の管理ですので、当然確定申告にはマイナンバーが必要になってくる、というわけです。

確定申告書には、新たにマイナンバーを記入する欄が設けられます。そしてマイナンバーがわかる書類を添付します。申告者は、申告書にマイナンバーを記入し、マイナンバー関連書類を添付する、という作業が増えるわけです。それほどの手間にはならなそうですね。

マイナンバーがわかる書類とは、マイナンバーカードまたはマイナンバー通知書と運転免許証や健康保険証などの身分証明書のコピーです。マイナンバーカードを持っている場合はその両面をコピーして添付します。マイナンバーカードを申請せず持っていない場合は、平成28年に送付されたマイナンバーが書いてある「マイナンバー通知書」と、それにかかれている本人確認書類の2つが必要になります。マイナンバーカードを作っていない方は、今後の手間を考えるとこれを機に申請した方がいいかもしれませんね。ですが、マイナンバーカードの発行には時間がかかります。これからの発行申請では平成28年度分確定申告には間に合わないと思って対応した方がいいでしょう。 

マイナンバー制度の注意点

マイナンバー制度後の確定申告の注意点としては、申告者自身の他に専従者や配偶者や扶養親族のマイナンバーも必要になってくる、というところです。

申告書A・Bともに、第一表には申告者本人の記入欄、第二表には事業専従者と配偶者・扶養親族それぞれのマイナンバー記入欄があります。しかし、マイナンバーのわかる書類と本人確認書類は申告者本人のみになります。

また、マイナンバーが導入されたことで行政側は様々な角度から収入の照会が可能になってきます。つまりは、申告漏れの見逃しが減る、ということ。主な事業の他にも副収入のある方は、無申告が発覚した場合はペナルティーが科されてしまいます。事業所得の他に収入がある場合は、隠さず雑所得などできちんと申告をしましょう。

さらに、専従者のマイナンバーを記入するということは専従者の所得も行政は把握するということです。もし専従者が副業をしていて、その所得が専従者給与よりも多い場合などは注意が必要です。「専従者」とは、「その事業を主な仕事としその事業に専念する者」または「その事業による収入が主な収入源である者」というような意味があります。ですから、専従者が副業をしているのは悪いことではないのですが、その収入が専従者給与より高額であると「専従者」として働いているのかが疑問になってきます。専従者として認められなくなる懸念のほか、専従者給与を申告していたことで脱税とみなされた場合はペナルティーがつくことになり、深刻な事態になってしまうかもしれません。マイナンバー制度は平成28年度からですが、申告に関しては基本的には5年はさかのぼって調べることができます。最長5年分さかのぼって専従者分の申告が認められないとなると、それに関わってくる追徴課税などは小さな額ではなくなるかもしれません。そもそもマイナンバー制度は主に申告漏れや脱税を減らすために導入された、ともいわれています。ですので、該当年度分だけで前年度以前のものまでさかのぼって調べたりはしない、とは言い切れないのです。

毎年きちんと申告をされている方は、新しく加わったマイナンバーの欄に記入をし、関係書類を添付するだけの作業で済みます。それ以上のことをしなければならない方は申告以前に事業に対する姿勢や事業の在り方を見直すいい機会になるかもしれませんね。

そのほか変わる制度

平成28年度分には関わってきませんが、平成29年度分(平成30年提出分)より変わる制度もあります。これは事業所得申告ではなく医療費控除に関するものです。

今までは医療費控除は「年間に1世帯あたり10万円以上の医療費が掛かった場合、所得から控除する」というものでした。基本的には通院・入院とそれに関する設備費・保険外費用や交通費です。これが、10万円を超えなくても条件を満たせば控除できるようになります。「セルフメディケーション制度」といい、医療費控除の特例として扱われます。

セルフメディケーション制度は、薬局などで「対象となる特定の成分を含んだOTC医薬品」の年間購入額が、合計12,000円を超え、健康の保持増進及び疾病の予防への取組を行った人が、所得控除の適用を受けられる新制度です。つまり、健康診断や予防接種を受けて健康に気を遣っている人で、事情により病院になかなか行けず薬局やドラッグストアで厚労省指定の「スイッチOTC薬」に指定されている市販薬に年間12,000円以上支払った人は年間100,000円以上医療機関に医療費を支払ったと同等の扱いにしますよ、ということです。

「スイッチOTC薬」とは、厚労省が指定した成分を一定量以上含んでいる医薬品のことで、「ロキソニンS」や「パブロンS」などが有名です。医院で処方される薬と同名の医薬品に多いです。しかし、厚労省はこのOTC薬の指定を2か月ごとに更新するとしていますので、購入する際は薬剤師などに訪ねてから買う方が確実でしょう。

また、通常の医療費控除と同じく購入したときのレシートも忘れず保管しておきましょう。そのほか、「健康の保持増進及び疾病の予防への取組を行った」証明の書類も必要になるようです。これは健康診断書のコピーや予防接種を受けたときの医療費レシートが該当します。

単身で医療費控除を申請できなかった人も、「セルフメディケーション制度」で控除が受けられるかもしれませんね。

申告書提出は来年ですが、申告対象年度は平成29年1月1日からになりますので、この制度は今もうスタートしていることになります。少しでも節税に役立つように覚えといても損はありませんね。

 

これらのように、平成29年からの確定申告は新しい制度が導入されてきています。最新のものではない会計ソフトを使っている方は、申告書の差し戻しなどにならないようにしっかりと確認をしましょう。

takuto

takuto現役・独立系ファイナンシャルプランナー

投稿者プロフィール

大学卒業後、地元のハウスメーカーに就職。3年後、ファイナンシャルプランナーに転向。
携帯料金の見直しから、相続の相談まで幅広くメリットを出すうちに、紹介が紹介を呼び、多いときで月に100件以上の打ち合わせを行うことも。
「知らずに損しているを無くす」をモットーに、ライフプランをもとにした貯金の考え方や節約術、お金の管理運用などのアドバイスを行っている。

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