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勘定科目がわからない経費は「雑費」でいい?便利な勘定科目「雑費」に潜む落とし穴!?
そもそも「雑費」のくくりは?
事業に関わる支出だけれど、どの勘定科目で処理したらいいかわからない出費があったときに活躍してくれる勘定科目が「雑費」です。ですが、この「雑費」はどのような経費が対象になるのでしょうか?
雑費とは、費用のうち他のどの勘定科目にも当てはまらないものや一時的な費用(臨時的な費用)で、金額が少額なため、特に科目を設ける必要ないものをまとめて管理するための勘定科目のことです。
つまり、一回の支出額が少なくてなおかつ年間に支払う回数が1回2回程度しかないような出費は「雑費」として仕分けられるということです。年1、2回の支出のために勘定科目を増やすまでもない、という場合の勘定科目です。
カード年会費やNHK受信料などは「雑費」で落とせる
よく「雑費」として処理される経費にあげられるものには「クレジットカードなどの年会費」や「NHK受信料」などが上げられます。「カード年会費」は文字通り1年に1回の支払いです。金額も一般的には数千円から1万円程度で高額ではありません。また、「NHK受信料」も半年払いや1年払いにしていれば「雑費」として計上しても大丈夫です。金額や支払回数もさることながら、これらの出費は支出内容が明確なので「雑費」としても安全な支出ともいえます、
ほかに「雑費」として計上できるような支出は、たとえばテレビなどの取材を受けた際に用意したスーツなどの「洋服・服飾用品代」や、オフィスの家具などの入れ替えで粗大ごみが出た際の「ゴミ処理手数料」なども回数が少ないものは「雑費」として計上しているケースが多いです。
また、美容関連の仕事をされている方などは高額ではないけれどすぐ使いきれない「化粧品」などを雑費で落としている方もいるのではないでしょか?年に何回も買うものでもないので「消耗品費」としての扱いでいいのかな?と迷った場合にも「雑費」として計上するケースもあります。
便利で楽な「雑費」の落とし穴
勘定科目がわからなくても経費として計上できる便利な「雑費」ですが、もちろん万能ではありません。他の勘定科目は「接待交際費(=取引先や事業に関わる人との事業に関連する付き合いにかかった経費)」、「通信費(=通信や郵便にかかった費用)」や「新聞図書費(=新聞代や雑誌・飼料用の書籍など)」支出の目的が明確にわかるような科目名です。それに対して「雑費」というのは、詳細な内訳が見えない状態では、何にかかった、どんな理由の経費なのかが不明です。帳簿に記帳する際は内訳など細かい情報も記しますが、決算書や確定申告書に記入するときには「雑費」としての合計金額しか記載されません。つまり、事業に関わる明確な理由や内訳は、決算書や確定申告書を見て判断する税務署側には見えなくなるわけです。どのような出費による金額なのかがわからないと、経費として妥当かどうかの判断をしがたいわけです。トータルの売上や支出理流のはっきりしている勘定科目に比べて「雑費」の金額の割合が明らかに高い場合は不正に経費計上しているのではないか、と思われることがあります。そのようなことがあるので、税理士などは極力「雑費」という科目を使わずに決算書まで仕上げる方が多いそうです。税理士がしているくらいのことですから、当然一般事業者も同じようにならう方がいいに決まってますよね。
脱税や不正経理の疑いを避けるためにも、「今回限りの出費」や「年に1回しかかからない経費」以外はなるべく「雑費」という科目は開かずの扉にしておいた方がいいでしょう。
「雑費」を使いたくない場合はどうしたらいい?
ですが、「雑費」を使わないと勘定科目がわからないし…ということも多いでしょうか。
先に挙げた「雑費」で計上してもよいとされる支出の例で説明すると。「カード年会費」は「諸会費」、「NHK受信料」は「通信費」として計上します。「洋服代」は10万円以下であれば「消耗品費」で計上しても良いですし、「ゴミ処理手数料」は「~手数料」と名がついているので「支払手数料」で計上できます。
また、会計ソフトは一般的によく使われる勘定科目を初期状態で設定されていますが、既存の勘定科目のほかに科目が追加できる機能があります。会計ソフトに「科目追加」機能があるということは?そうです、「勘定科目は自分で設定して追加してもよい」のです。ですので、先に述べた「化粧品」などは「化粧品費」として勘定科目を追加することもできます。また、ライターをされていて取材や記事の資料として購入したものや取材地にまでの交通費などを「取材費」などとして科目を作っている方もいます。
会計ソフトなどはある程度のひな型ができていて誰でもが使いやすいようになっているだけであって、必ずしもそれに従わなければならない、というわけではないのです。むしろ、自分の事業に合わせた勘定科目を設定することによって、経費の割合が明確になり経営判断がしやすくなるというメリットもあります。様々な業種があるからこそ経済が成り立つので、帳簿も業種に合わせてカスタマイズできる自由度が実はあるのです。
経費が明確になると節税や経費削減のための判断もしやすくなります。使途不明金はない方がよいというのは、家計簿と同じということですね。