FXの確定申告は?

FXの利益は確定申告の必要あり?

外国為替証拠金取引・・・と難しい感じがしますね。つまりFX取引の事なんですけど、2007年のサブプライム以降も参加者が急増していて人気の個人投資です。このFXも当然ですけど、利益がでれば確定申告の必要があります。

株とは税制にも違いがあって、損益を翌年以降に繰り越せない事や利益の扱いが他の収入と合算されて計算される点で、株よりも税制上は不利な状況です。

よくニュースでも数億円の脱税とか聞きますよね。あれって個人の取引でもよくある事だそうで、最近は税務調査も個人のFX取引には注意を払っているそうです。

これぐらいなら・・・・なんて考えていると、場合によっては起訴される場合もあるので要注意です。FXで利益が出ているならしっかり確定申告しましょう。

申告しなければならない分岐点

FXで個人投資されている全ての方が確定申告しないとダメ?

・・・というと、そうでもありません。

FXの利益は毎年1月1日から年末の12月31日までの利益を集計して20万円以下ならば申告の必要はありません

ただ、これにもちょっと条件があって、純粋なサラリーマンの方で副業をされていなければ、それでOK。ただし年間所得が2000万円以上なら必要です。

副業収入や家賃収入、その他投資による収入がある場合は、FXの利益が20万円以下でもFXの利益とは関係なく確定申告する必要があります。

まとめれば、所得は給与のみで年間所得が2000万円なら、FXで20万円以下の利益で確定申告の必要なし。

上記以外で利益が20万円を超えるなら必要・・・って事ですね。

FXの金利はどうなるの?

FXの利益には二種類あって、「金利」と「為替差益」。売買差益は売買しないと発生しないので、申告のタイミングも分かりやすいですよね。でも、ず〜と持っているポジション(建玉)の金利は迷う所。

この金利の扱いですけど、実はFX業者によって変わってきます。

  1. ポジションを決済するまで金利を受け取れない
  2. ポジションを決済せずに金利のみを引き出す事が可能

上記の2種類のどちらかで、申告タイミングが変わります。

まず1の場合、これは決済しないと受け取れない、つまりは利益が確定していない状態なので、確定申告は決済して利益が確定するまで必要はありません。でも、決済したら申告はしないとダメです。

次に2の場合、これは決済しないでも金利分を受け取るので、毎日利益が確定している状態です。これだとポジションを決済しなくても、金利分だけを計算して確定申告する必要があります。

また金利分を確定申告する際は同じ年の為替差益と通算が可能なので、売買損益が−100万円:金利が100万円なら所得は0となるので、確定申告の必要はありません。

他の所得との損益通算は?

実はFXの所得は雑所得として総合課税の対象になるんですが、他の所得や損益との通算は出来ない事になっています。つまりは副業収入やその他収入に対して、FXが損失を出していても、FXの損失分を他の雑所得分に加える事が出来ないんです。

なんて不便な!・・・って思いますけど、現在の制度上はそうなっているので仕方ありません。でもFXという括りでなら、損益の通算は可能です。

例えばA社でFXの利益が100万円、B社で−50万円、さらにC社で−50万円ならが通算すると・・・・

100−50−50=0

つまりは税金は掛かりません。

では、同じ個人投資で人気の株との損益通算はどうか?

答えから言えば、損益通算は出来ません。

株で損失が−100万円、FXで利益が100万円の場合なら、このFXの利益に対してのみ税金が掛かります。株の損失分は申告分離課税の対象なので、翌年以降も損失を繰り越せますが、FXとの通算は出来ないんですね。

所得によって変わる税率

始めの方で年間所得が2000万円以下なら・・・・と説明しましたが、年間の所得に応じてFXに掛かる税率も変わってきます。これはFXが総合課税の対象になる為で、他の所得による税率が適用されるからなんですね。

税率は住民税と所得税を合わせた金額ですが、住民税の10%は変化せず、所得に応じて所得税が変わります。所得は給与総額ではなく、基礎控除や保険など控除後に残った所得になるので、控除額も計算する必要があります。

で・・・、肝心の税率はどう変わるのか?

年間の所得別に簡単に紹介すると、

  • 200万円以下・・・・所得税率5% ⇒ 税率15%
  • 330万円以下・・・・所得税率10% ⇒ 税率20%
  • 700万円以下・・・・所得税率20% ⇒ 税率30%
  • 900万円以下・・・・所得税率23% ⇒ 税率33%
  • 1800万円以下・・・・所得税率33% ⇒ 税率43%
  • 1800万円超・・・・所得税率40% ⇒ 税率50%

上記によって決まった税率がFXの利益に対して掛かります。なので、1000万円の所得なら税率は43%となるので、FXによる利益が100万円ならば税金は43万円となります。・・・高いですよね。でも、FXの場合の税率はそうなっています。よく見ると、330万円と900万円が税率の大きな分岐点。このあたりでは、別項で話しますが「くりっく365」を検討する余地が出てきます。

ちょっとくどいですけど、適用税率はあくまで「控除後の所得」です。年間の給与だけで判断してはダメなので注意です。

経費を忘れてはダメ

意外と見逃しがちですけど、FXの利益に対して、経費を差し引く事が可能です。

経費?・・・ピンと来ないかもしれないですけど、意識しなくても勝手に差し引かれているFX業者の手数料は当然で、これは利益を得た段階で既に差し引かれているので、特に確定申告の際に考える必要はありません。問題なのは、その他の経費です。

FXを自宅で取引する場合は、当然パソコンが必要ですよね。他にもインターネットをつなぐ為の回線使用料やFXの参考書籍、FXの為にネットで購入した商材などやセミナー参加費、そしてその為の交通費・・・などなど意外に経費に繋がっています。これらを経費として計上する事で、FXの利益から差し引いて計算する事が可能になります。つまりは極端ですが、経費が100万円ならば、FXの利益が100万円でも税金は掛からないという事です。

経費を計上するのは面倒そう・・・・と思うかもしれませんが、意外とアッサリ簡単に計上する事が出来る物です。まして数十万円の違いともなれば、申告しないのは損です。経費に関わる領収書や収支だけをしっかり付けて置くと、後々確定申告の際に助かる事になります。

経費を扱う以上は必ず確定申告する必要があるので、経費を差し引いて20万円以下になる場合でも、必ず確定申告するようにしましょう。

くりっく365口座の判断は?

FXの税率が所得額によって変わり、他と損益通算できない事、そして利益に対して経費計上できる事を紹介しました。そこで気が付くのが、やたら税率が高いという事です。FXで毎年利益を出し続けるならともかく、利益を得られる年もあれば、損失になる年もあって当然です。なのにも関わらず、儲かった時だけ税金を取られる状態です。しかも最高税率が50%とかなりの税率・・・・。

こういった面だけ見ると、FXがすごく不利な取引に思えますが、FX口座の中には「くりっく365」と呼ばれる口座があります。これは特定のFX業者の口座を指すものではなくて、通常FX業者は相対取引と取引所取引に分かれます。その取引所取引が「くりっく365」な訳です。

では、2つの種類は何が違うのか?一つは税制、もう一つは資産の保全面です。

通常の相対取引の場合、業者の倒産時には顧客の資産は一般の債権者と同様に山分け状態になります。(もちろんFX業者も分別保管や信託保全で対応しています)

一方の取引所取引・・・言いにくいので「くりっく365」の場合は、金融商品取引法に加えて取引所規則による規制が入るので、顧客の資産は全額取引所によって分別保管されます。これのメリットは業者が倒産しても心配要らないって事です。

税制面でも・・・というよりも、コレが最大のメリットですが、税率が一律に20%と定められていて、株などと損益通算も出来、さらに損益を翌年に繰り越せる。つまり株と同様に申告分離課税方式を取る事が可能な訳です。これは長期的にみてもかなり有利なのですが、取引手数料が掛かる事などから敬遠されがちです。

でも、損益の通算・繰越しのメリットや税率のメリットを考えれば、目の前の手数料によるデメリットよりメリットが大きいかもしれません。税制面だけみれば、今は国が相対取引がメインのFX業者をくりっく365へ誘導したいという事かもしれませんね。

また所得に対してこの口座が有利かどうかも変わってきます。申告分離課税は一律で20%ですから、「所得によって変わる税率」で紹介した税率が20%以下の場合。つまりは所得が330万円以下の税率は15%なので、損益を通算できるメリットを除いて税率だけで比較すると、くりっく365よりも通常の相対取引の方が有利です。所得が330万円超となると税率も30%となるので、税率・通算繰越しメリットの双方をくりっく365が上回ります。結論をまとめると、FXの利益に関係なく控除した所得が330万円以下なら通常の相対取引も有利。控除した所得が330万円超ならくりっく365が有利な訳です。

ただ補足すると、くりっく365はどこのFX業者でも手数料や為替レートも同じになるので、業者メリットはなくなります。つまり取引手数料無料などのFX業者によるサービスが上か、それとも税制上の有利さが上回るかは個人差があります。個人的な分岐点としては、所得が500万円以上あたり・・・それ以上なら手数料を考えても税制上のメリットを得る事を視野に入れて取引すると思います。

判断は取引回数など個人差がありますが、取引回数が少なく長期なら所得330万円超で迷わずくりっく365を選ぶのが無難だと思います。現在くりっく365を扱う業者はまだ少ないですが、今後は増えていくと思います。下記は現在くりっく365を扱っているFX業者です。

◆GMOクリック証券

◆インヴァスト証券

◆FXブロードネット365

◆カブドットコム証券

各社を確認すると分かりますが、それぞれFX業者が違っていても取引条件は同じですが、キャンペーンには結構違いがあったりします。課税対象となる所得額と取引の方法を加味した上で、くりっく365か相対取引かを選択しましょう。

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