友人に手伝いを頼んだら?人件費のいろいろ

「人件費」の扱い

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事業をするにあたって必ずかかる経費は「人件費」です。たとえ従業員を雇わなくとも事業を回す「人」がいなければ事業は成立しません。青色事業主・個人事業主の場合は純利益から自分の手元におくお金すべてが人件費といえます。

サラリーマンでいうところの「給与」ですね。税制上個人事業主の利益はすべて事業主の懐に入るものとして考えられるので、利益に税金がかかります。「利益」=「事業主の収入」という考え方ですね。

基本的には一人で経営している事業主の方も昨今は増えてきていると思います。ですがどうしても人手が必要で「青色事業専従者(家族)」以外に手伝いを頼んだ場合の人件費計上がどのようになるか、ひも解いていきましょう。

 

「常用雇用」かどうか

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 まずポイントとなるのは「常用雇用」かどうか。「常用雇用」は常に雇用しているか、ということ。一定期間以上、雇用される側が雇用主からの収入が主だった収入になる場合は「給与」として計上します。いわば、本業として働いてもらうと、その「人件費」は「サラリー」になるということですね。

「給与」として計上する場合は、いくつかの制約があります。まず「給与」ですので「労働基準法」が適用されるので労働時間や最低賃金の制約があります。源泉徴収も関わってきます。申告の際には「給与として支払った」という「給与支払届」等を別途添付しなければいけません。給与明細の発行も忘れずに。労災加入もしなければなりません。

といくつか並べてみると、よほど腰を入れて働いてもらうとき以外は「給与」計上しない方が楽な気がしますね。

「労働基準法」が適用される「給与」のトラブルは必然的に「労働基準監督署」が関わってきますので、常用雇用される場合はしっかりと書面での雇用契約書を交わしておくのがよいです。労働時間・期間の記録(タイムカードや勤務表など)も忘れずに。

 

「短期・単発」なら

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「常用ではないけど、毎週2,3日手伝ってもらう」「定期的に手伝ってもらう」や「一日だけお願い!」なんてときは、アルバイト代として「雑給」処理もできます。

「雑給」は「給与」よりは扱いが大雑把ですが「給」とつくだけあって「労働基準法」は適用されます。時給・日給ともに最低賃金が適用されるので、「ちょっと5000円くらいでお願い」としたときに7~8時間働かせてしまうとアウトになります。「給与」との区別の一つとして、「源泉徴収がかかるほどの金額ではないとき」に「雑給」計上すると思ってもらえると簡単かと思います。

 ですが、あくまでも「給与」に準ずる扱いなので、継続して支払った額が大きくなれば「給与」と変わらない扱いになります。当然勤務の記録もしておきましょう。

「社員=給与」「アルバイト=雑給」ですね。ちなみに、「アルバイト代」といっても、青色事業主の場合、同一生計の家族の支払いは事業主の自腹になります。あくまでも「家族以外に」頼んだ時の「給与・雑給」です。

 

「仕事一件あたりいくら」のときは

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Web関連の事業や技術職・建築関係などになると時給や日給ではなく「仕事一件あたりいくら」という支払方法が妥当な場合があります。労働時間が一定ではなく、出来高制で支払う場合などに多いですね。

こちらは「外注費」として計上するのが適しています。最近ではアウトソーシングが盛んになってきているのでこの「外注費」という勘定科目を聞くことも多くなったかと思います。建築関係などは「外注さん」などと呼ばれる「外注をメインに請け負う職人」もいまだ多いです。建築の場合は「人工」という計算方法があり、日給と同じように計算しますがそれを一定期間まとめて「外注費」として支払います。

この「外注費」の注意したい点としては、仕事の内容や支払い条件などを明記した「請負契約書」や「外注契約書」、仕事を発注したときに「発注書」、報酬を支払ったときの「支払明細書」などの書類を発行しておくこと。

契約者から「請求書」や「領収書」を発行してもらうのもお願いしておきたいところです。金額が大きくなった場合に、これらの証憑書類がないと申告の際に税務署からNGを出されることがあります。利益を左右するほどの額になってしまうと、その経費が適当かどうか調査する必要があるので、当然の話ですね。

ですが、この「外注費」の場合は「労働基準法」や「源泉徴収」を考えなくて済みますので事業の内容によってはこの「外注費」がとても役に立つ勘定科目だったりします。

 

「雑費」で計上してもよい?

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「給与・雑給」ほどでもないし、契約書を結んでまで「外注費」とするほどの金額ではない、そんなときは「雑費」として計上できる場合もあります。その際は帳簿や領収書には「手伝ってもらった日付・内容」を明記し、「謝礼」などとして計上してもよいようです。

しかし「雑費」はあくまでも「雑費」なので、同一人物にあまりにも頻繁に「雑費」として計上していると他の科目に振り替えた方がいいと税務署などから指導があるかもしれません。

片づけや引っ越しなどの手伝いを「謝礼」として「雑費」処理するのは妥当ですが、直接業務に関わってくるものはやはりきちんと「人件費」としてそれなりの科目で処理した方があとあと問題にはならないかと思います。

takuto

takuto現役・独立系ファイナンシャルプランナー

投稿者プロフィール

大学卒業後、地元のハウスメーカーに就職。3年後、ファイナンシャルプランナーに転向。
携帯料金の見直しから、相続の相談まで幅広くメリットを出すうちに、紹介が紹介を呼び、多いときで月に100件以上の打ち合わせを行うことも。
「知らずに損しているを無くす」をモットーに、ライフプランをもとにした貯金の考え方や節約術、お金の管理運用などのアドバイスを行っている。

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