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経費処理できる「お茶代」、勘定科目は?
「お茶代」といってもいろいろある仕訳
休憩時間に一息つくためや来客があったときのためにほとんどの会社や事業主はお茶やそれに準ずる飲料などを用意しているかと思います。
「領収書、お茶代で」と一口に言っても、目的次第で勘定科目が変わってきます。様々な「お茶代」を詳しくみていきましょう。
社内・従業員のための「お茶代」
給湯室などに常備してあるお茶・コーヒーや、または会議や打ち合わせのために喫茶店などでコーヒーを頼んだ時など、社の従業員のための「お茶代」。これだけでも用途で勘定科目が分かれます。
給湯室や休憩室においてあるお茶やコーヒーなどの利用目的は「従業員に気持ちよく休憩をしてもらい、勤務の効率ややる気を上げてもらう」つまり「福利厚生」に当たります。ですので、こちらの勘定科目は当然「福利厚生費」となります。
これは社内に限らず、従業員と慰安目的の飲食をした場合も「福利厚生費」となります。
「日頃頑張っている従業員の労をねぎらい、さらにやる気を出してもらおう」という目的のもとに出された「お茶代」などの飲食費が「福利厚生費」となるわけです。
一方、会議や打ち合わせ時に出されるお茶・コーヒーは休憩が目的ではありません。この場合は「会議費」として扱います。長時間の会議などになると食事が出たり、また外勤中の打ち合わせで喫茶店やレストランを利用した場合も、飲食代は「会議費」として計上できます。
社内での「お茶代」は、実際のところ「福利厚生費」と「会議費」で分けることは現実的には境目がはっきりしなく難しいかもしれません。ですので、社内は「福利厚生費」、社外は「会議費」(もちろん、打ち合わせ等目的が前提です)として分けてしまっている場合もあるかと思いますが、どちらもよほどの金額が計上されていなければNGが出ることはほとんどないでしょう。
お客様・取引先のための「お茶代」
来客や商談のために取引先の方がいらしたときにふるまう「お茶代」、こちらは単純に「接待交際費」として計上することが多いでしょう。
または、商談のため喫茶店などで飲食をした場合も同様かと思います。こちらもそれで問題はないのですが、ややさかのぼって「カラ接待」が話題になった時代がありました。
接待や商談の実態がないのにも関わらず「接待交際費」として様々な場面での飲食代やレジャー代が計上されていたことが問題になりました。これは会社の利益を個人的に利用しただけではなく、経費を水増しすることによって利益が減り結果脱税になるという問題が生じます。
ですので、現在は平成26年の法改正により「法人の接待交際費は上限800万円または、交際費のうち飲食代の50%を経費として計上できる」となっています。
こちらは、例えば年間3000万円の接待費があった場合上限として800万円の方が多くなるか、またはそのうちの飲食代50%の方が多くなるかの計算が必要となります。
仮に飲食代が2000万円あった場合は50%にしても1000万円ですのでこちらは「飲食代50%」で計上した方が得する、ということになります。ですが、それほどの交際費がかかるのは一部の企業だけでしょう。おおかた上限800万円の枠に収まるかと思います。
一方、個人事業主としては法人とは違い限度額はありません。しかし、経費計上するということは利益計算に関わり、続いて税額の決定に関与するため利益や事業規模にそぐわない金額を計上するとやはり問題になります。
監査などの対象とならないよう、「接待交際費」として計上するものはある程度の線引きをしていた方がいいかもしれません。
法人・個人と限度額に差はあれど「接待交際費」とはそもそも「社や事業の利益に成り得る交際費」という名目ですので、経費として計上された分利益に反映していないとおかしい、というわけですね。
少額の「お茶代」の処理
としても、綿密な打ち合わせが必要な事業もあるでしょう。一度や二度の商談や打ち合わせでは簡単に決められないことも多々あるかと思います。
しかし、そのような場合は大掛かりな「接待」という感じではなく、「近くの店でコーヒーでも飲みながら打ち合わせしませんか?」となる方が多いのではないでしょうか。
この場合、他社や取引先がいても「会議費」として計上できるのです。「金額が5000円以下」という条件がありますが、このような少額の場合は「接待交際費」としてではなく「会議費」として計上した方が損金処理の上でも申告をする際の印象でも問題が少なくなります。
金額はさほどではなくてもあまりにも「接待交際費」が多いと税務監査側の印象が良くない、というのはよく聞く話です。
個人事業主の「お茶代」
さて、今までは従業員を抱えている事業という前提ではなしを進めてきましたが、従業員を雇っていない場合の事業主の「お茶代」はどうでしょう。
来客や取引先との商談などの際の「接待交際費」として計上する「お茶代」に関しては変わりませんが、「福利厚生費」として計上することはできなくなります。
先に述べたように「福利厚生費」とは「従業員のためにかける経費」であって、事業主自身には発生しません。青色事業で家族を専従者として扱っている場合も、専従者の飲食代は「福利厚生費」にはほとんどの場合できません。
給与を支払っているとしても、同一生計のもと生活費との境界が曖昧になってしまうからです。こちらはケチって計上しない方が無難といえます。
しかし、ノマドワーカーなどフリーランスで働いている方は外出先でどうしてもメールや資料を送らなければならない状況が出てくることもあります。
その際、Wi-fi環境のあるカフェなどでコーヒーを一杯頼んで仕事を終わらせることもあるでしょう。この場合は「雑費」として経費計上しても、その理由と必要性がしっかり説明できるものであればよほど頻繁でない限り認められることが多いようです。
この場合は対象は「飲み物一杯程度」であり食事代は認められないようですが、領収書をもらう際に理由や用途をメモしておくといいでしょう。