- Home
- 仕訳・経費・節税対策
- 自動車を経費で落とすのは本当にお得なの?
自動車を経費で落とすのは本当にお得なの?
経費で落とせる車関連の費用
普段乗っている自動車の諸費用を経費にできたら、車に乗っているだけで節税になる!?
経費で落とせる車両関連費はどういったものがあるでしょうか。見ていきましょう。
○燃料費
いわゆるガソリン代です。レギュラー・ハイオクガソリンはそのままの金額で計上できますが、軽油は「軽油税」がかかるので仕訳が2項目に分かれます。最近増えてきたディーゼルエンジン車は軽油なので、仕訳間違いをしないように気を付けましょう。
○修繕費
メンテナンス代ですね。車検や定期点検、故障の修理などは「車両修繕費」として計上します。ただし、車検時は他に「重量税」や「印紙代」などの法定費用がかかります。こちらは「諸税公課または租税公課」になります。業者に車検を頼んだ場合は、法定費用の他に手数料などもかかります。こちらは「支払手数料」もしくは「雑費」で計上するか、車検を通すための修理代が含まれているなら「車輌修繕費」で計上しても構わないでしょう。
仕訳を間違わないように、車検費用の明細をしっかりと確認しましょう。
○任意保険は法人のみ
車にかかる費用だから、といっても任意保険は個人事業主は計上できません。事業用で使用していても、車の持ち主は事業主個人になり、結果任意保険の被保険者も個人になってしまうからです。法人の場合は法人用の保険がありますので、そちらは計上できます。
○車両代
事業用として購入した自動車であれば、購入費用は経費計上できます。しかし、注意したいのは「自動車は資産」であるということ。減価償却の対象です。ただし中古車で買った場合は償却期間が違ってきます。自動車の耐用年数は6年ですが、これは新車購入時の話です。中古車で購入した場合は耐用年数から規定年数を引いた年数で償却します。詳しくは次の項目で説明します。
自動車購入費用の減価償却
自動車の購入費用は高額です。前項で説明した通り資産計上され、減価償却が必要になります。その減価償却の方法は、新車購入時と中古車購入時で変わってきます。会計ソフトを使用していると試算となる車輌の情報を入力するだけで自動で計算してくれるかとは思いますが、その計算方法を理解しておくとなぜその金額で経費計上されるのかがわかり、新車購入や買い替え時のおよその計上額が把握できるのではないでしょうか。
○新車購入時
新車を購入した場合は、車両価格を耐用年数6年で償却します。とすると、張り切って新車を買っても、年間の経費としては案外少額になります。よく「経費で落とすなら新車じゃない方がいい」と言われる所以です。
○中古車購入時
中古車は納車されてから少なからずの年数が経過しています。減価償却の耐用年数は新車で購入した場合を想定していますので、中古車購入時は耐用年数の計算をし直さなくてはなりません。
中古車の耐用年数は、「法定耐用年数6年をすべて経過しているもの=法定耐用年数の20%」、「法定耐用年数6年のうち数年を経過しているもの=法定耐用年数から経過年数を差し引き、経過年数の20%を加算した年数」となります。つまり6年落ち以上は耐用年数の20%で1.2年、14カ月で償却します。6年落ち以内、例えば4年落ちですと「6年-4年+(4年×20%=0.8年)=2.8年で償却することになります。
償却する年数が少なくなる、ということは経費計上できる額が大きくなる、ということ。このことから「経費計上するなら中古車の方が得」という説ができているのですね。
ですが、新車には新車のメリットがあります。初回車検が3年後であったり、車両購入費にいろいろなメンテナンス費用が含まれているものもあります。経費計上しにくいカーアクセサリーを価格に含めることも可能です。燃費もいいものが多いですね。
逆に中古車は程度により修理費がかさんだり燃費の良くないものもあります。
目先の経費よりもトータルでどれくらいかかるかを考えていないと、経費計上は事業の売上を減らす行為ですので、メリットがデメリットに反転してしまう可能性も忘れずに。
家事按分のメリット
では、事業用に自動車を購入するのではなく今ある自家用車を事業用に使用したい場合はどうでしょう。こちらは「家事按分」というものをすると経費計上することができます。燃料費・修理代・その他維持費を自家用と事業用とでの使用割合を算出し、事業分のみを経費として計上します。平日は事業用、土日は自家用であれば、かかった費用を5:2で分けることになりますね。
会計ソフトを使用している人はこの作業が随分楽にできるかと思います。「家事按分」という仕訳で事業用と自家用の割合を入力すれば自動で計算して決算書に反映してくれますね。
この「家事按分」の場合のメリットは、はなから自家用でも使用することが前提ですので使用範囲が制限されず、車種に関してもこだわる必要がなくなることでしょうか。また、故人所有の自動車を事業用に使用しているだけなので自動車という資産の減価償却も必要なくなります。余計な資産を保有しなくてすむので、その分課税対象額も減ります。
事業規模や売上が大きくないうちは経費で落とせるからといって無理して大きな買い物をせず、自家用車を自家按分しながら事業を進めていく方が負担は少なくなりそうですね。