- Home
- 仕訳・経費・節税対策
- 家賃按分した方がいい?自宅兼事務所のメリットとは
家賃按分した方がいい?自宅兼事務所のメリットとは
個人事業主のオフィス
ネットや情報の普及により個人事業主となるハードルが下がってきた昨今。副業として開業届を出し、青色申告事業主となる方も多くなってきました。
開業するにあたり絶対に必要な「オフィス」。大きな企業のようにビルを持ったり借りたりするのではなく自宅の片隅で開業できるのも個人事業主のいいところですね。
さて、この個人事業主の「オフィス」、「自宅兼事務所」にするか「自宅とは別に事務所を構えるか」ちょっとした悩みどころではありますね。ここでは双方のメリット・デメリットを比較していきましょう。
自宅兼事務所のメリット・デメリット
「自宅兼事務所」の最大のメリットは、自宅のみで業務が完結させられるところですね。自宅にいながら仕事ができる、出社の必要がないというのはとても楽なものです。
満員電車に乗ることも、渋滞にはまることもなく業務を開始して、自分の都合で休憩すらできてしまう、いわば理想の職場です。副業としても、帰宅後の手の空いた時間などに取り掛かったり、家事の合間にこなす主婦の方も少なくありません。これは自宅でできる仕事の最大の魅力でもあります。
加えて、自宅を事務所にしていると確定申告の際に「家事按分」が必要ですが「家賃(地代家賃)」・「水道光熱費」・「通信費」などが経費として計上できます。
つまり、生活費の一部を事業の経費として計上できるので、生活費の一部をもってして合法的に節税できるのです。
デメリットとしては、プライベートと仕事の境目が曖昧になること。いくら自宅で自由であっても業務時間中に問い合わせの電話などがあればたとえ来客中であったり他のことをしているときでも対応しなければならない時があるでしょう。
対応時間外であったとしても、深夜の眠っているときに電話が鳴ったりするのは少々不快なものです。「いつでも仕事ができる」ということは言い換えれば「常に仕事が目の前にある」ということです。
自宅を事務所にすることは、ある程度の見切りと覚悟が必要とも言えます。
専用事務所のメリット・デメリット
かわって、自宅とは別に事務所を構える場合はどうでしょう。メリットとしては、やはり自宅とは違い仕事モードに入りやすかったりプライベートとの境目がはっきりつけられるところでしょう。在庫を抱える事業を行っている場合などは自宅では間に合わなくなってくるかもしれません。そのような場合に自宅とは別のオフィスがあるといいですよね。
さらに、プライベートとの区別がつくということは「家事按分」をする必要がなくなり経費の記帳が楽になります。
「家事按分」はプライベートと事業でのそれぞれ使用している割合を妥当な数字で計算しなければならないため、「家賃」に関してはそれほどではありませんが「水道光熱費」や「通信費」は毎月の明細を保存しておき記帳し、そこから決算書を作る際に「家事按分」として計算をし直すという手間がかかります。それがすべて出ている数字だけで済むのですから大変手間が省けます。
しかし、デメリットとしては賃貸などの物件であっても購入であっても初期費用が大きい額になるというと。いくら経費計上や減価償却ができるとはいえ、事業規模が小さいうちはリスクの高いものとなるでしょう。さらに賃貸になると事業として借りることができない物件も多々あります。
「居住用」で借りて事業に使い、業者の出入りなどが頻繁で隣近所からの苦情で退去することになった、という話も聞きます。また、商用利用で物件を貸すと、貸した方にも家賃に消費税を計算して計上しなければならないなど、「居住用」とは違う処理が発生するので、賃貸物件で事務所を開きたい場合はあらかじめその旨を伝え、事業に使用してもOKな物件を探すのが無難でしょう。
持ち家を按分する際の注意点
自宅が賃貸ではなく持ち家の場合はどうなるでしょう。考え方としては、土地・建物の資産価値は按分して減価償却できます。固定資産税なども按分が可能です。住宅ローンの利息分も「支払手数料」として按分可能です。考え方としては、です。
ここで注意しておきたいことはまず住宅の登記が「居住用」のみの場合に商売や事業を行うとよろしくない場合があること。土地・建物の資産価値に関わってきたり、また区域によっては事業用で登記できないところもあります。そして、住宅ローンを経費で落としていると住宅ローン控除は受けられませんので、うっかり間違って申告書の控除欄に記入してしまうと税務署からのご連絡が入ることになってしまいます。最悪脱税とみなされてしまえば、今までの控除分を返納しなければならないこともあるようです。
しかし持ち家であってもローンを払い終えていたり、事業用としても利用可能であれば初期費用はかなり抑えられます。それなりの広さの庭があれば、建物として認定されない物置やプレハブなど(基礎打ちをしていない建物)を置いて事務所として使用できるようにすれば、ほぼ自宅にいながら自宅とは別の業務に集中できるオフィスができます。業者等の出入りが多かったとしても賃貸ほど迷惑にはならないでしょう。
持ち家の場合は、ローンが残っているうちは「家事按分」の経費計上はしない方が得という場合があることは覚えておきたいものです。
「家事按分」狙いなら、賃貸の「自宅兼事務所」
このように、自宅の形態や事業規模によりどのオフィスが一番適しているかは人それぞれということがわかったかと思います。
事業規模が不安定だったり小さいうちはやはり「家事按分」でこまめに計上していけて初期費用の少ない「賃貸の自宅兼事務所」が一番効率がいいのではないでしょうか。