これで万全!控除講座
目次
知っておこう控除の数々
控除とひとくちに言っても、たくさんの種類の控除があり、それぞれ条件も違います。全部覚える必要はありませんから、安心してくださいね。
ただし、こんな控除があったなぁということだけは覚えておいてください。たとえ今関係のない控除でも、いずれ関係することがあるかもしれません。その時に知っておくのと知らないのでは大きな差が、いいえ、差だけでなく、所得税額にハッキリと差が出てしまいますよ。
主に、自分で確定申告をする方に必要な情報ですが、会社員の方は「自分は給与所得だから関係ない」とも思わないで。特に年末に結婚をした、赤ちゃんが生まれたなどなど、会社だとすでに年末調整が終わっているタイミングかもしれません。
そんな時、医療費控除、扶養控除、配偶者控除のことを知っていれば、自分で源泉徴収票を持って行って確定申告をすることで、還付金が戻ってくる可能性が大いにあります。
覚えておいてソンはないですよ〜(*^^)v
基礎控除
控除の基本中の基本。日本国民だれでももれなく受けられる控除がこの基礎控除です。
特に何も条件はなし。金額は38万円です。
この金額は、最低限生活できるであろうと国が定めています。
収入があっても確定申告をしなくていい特別なケースがあるのですが、それが「所得が38万円以下の人」。
どういうことかというと、所得から、この基礎控除38万円を引くと、所得が38万円以下だと0円、若しくはマイナスになりますよね。課税対象額が0円、したがって所得税も0円というカタチ。この場合は確定申告する必要ありません。
逆に、所得が38万円以下で、源泉徴収されている場合は、確定申告したらまるまる返って来るということですよ〜!(^^)
雑損控除
普通に生活していても、何か事件は起るもの。例えば不幸にも「火事にあってしまった」「財布を盗まれた」など、火災や盗難などは所得税を払うどころのハナシではありませんよね!
そんな時に適用されるのかこの雑損控除と言って、差引損失額、もしくは、災害関連支出の金額、いずれかの多い方の金額となります。
最近増えているピッキングなども雑損控除の対象です。
こういった被害にも色々なケース、種類があります。被害にあったとしても、生活必需品に損失がないと認められません。趣味の絵画や高価な金品などは、残念ながら対象にならないのです。また、火災なら消防署、盗難なら警察署の被害届けが必要です。
この控除が適用できるかどうか、詳しい控除額の計算方法は、必ず税務署へ問い合わせてくださいね。
医療費控除
その名のごとく、医療費の控除です。
出産をした、事故をした、怪我をした、風邪をひいた。
なければそれはそれで良い事なのだけど、病院に行ったり、お薬を買ったりということはよくあることですよね。
突然の怪我や病気の治療費はもちろん、出産をすると保険が効かなくて、医療費の支出は頭が痛いものです。
そんなとき、この医療費控除をぜひ使ってください。
1年間の医療費が10万円以上の場合、控除が受けられます。年収が200万円を下回る場合は、5%の金額を上回ればOKです。
この医療費は1人分でも、扶養家族全員分の医療費をまとめて計上して全く問題ありません。実際にかかった医療費−10万円(もしくは年収の5%)が控除額となります。
ドラッグストアで買った薬はもちろん、病院に行くための交通費も、医療費として計上できます。タクシーなら領収書を、バスや電車なら乗ったことをメモしてその日に診療を受けたという証、例えば、通院した日付入りの診察券のコピーなど、診察を受けたことがわかるものを一緒に提出します。
家族の中で所得がある人が何人かいる場合、医療費控除は「一番所得が多い人で申告する」のがセオリー。一番たくさん還付金が戻ります。10万円以下の場合は、所得の低い人にまとめるほうがいい場合もありますので、税務署で相談してくださいね。
配偶者控除
結婚している人が全て受けられる控除で、働いている、働いていないは関係ありません。
ただし、これにはいくつか条件があって…。
年間の配偶者の「所得が38万円以下」若しくは「給与収入(パート収入)が103万円以下」
この条件を満たすと、配偶者控除が受けられます。
配偶者控除は普通、配偶者の所得から控除される金額は38万円なのですが、特別障害者なら73万円、配偶者が70歳以上なら48万円、70歳以上で特別障害者なら83万円です。
また生計を共にしていることが条件。籍を入れていない内縁の状態や、同棲中では配偶者控除は受けられませんのでご注意くださいね。
配偶者というモノがどういうシステムなのかをキチンと理解さえしていれば、そこまで難しいことでは無いでしょう。
配偶者特別控除
実は、配偶者を対象とした控除は「配偶者控除」と「配偶者特別控除」、この2種類があります。
どこが違うのかというと、配偶者の所得が38万円、もしくは103万円を超えてしまうと「配偶者控除」は受けられなくなります。
しかし、配偶者への控除はスッパリとなくなるわけではありません。そのかわり配偶者の所得に応じて、じわじわと控除額が減っていきます。それがこの「配偶者特別控除」です。
年間の配偶者の
「所得が38万を超えて76万円未満」若しくは「給与収入(パート収入)が103万を超えて141万円未満」
この条件をに当てはまる場合、収入に応じて決められた金額の控除を受けることができます。
年間の収入がパートの場合141万円を超えると配偶者控除も配偶者特別控除も受けれなくなりますので、どのぐらいの金額までに抑えておくかは計画的に。
生命保険料控除
11月頃のポストの中、生命保険会社から、なにやらめくるタイプの葉書が届いていませんでしたか?
保険は入ってるのは入ってるけど、進められるがまま。保険会社からの郵便は見てもあんまりよくわからないなんて、全く無視したりしていないでしょうか?
実はアレ、確定申告に使える重要なアイテムなのですよ!
生命保険や個人年金保険に加入している場合、それぞれ最高5万円、合計して10万円の控除が受けられます。
控除の額は加入している保険の金額を元に計算式に当てはめて控除額を算出するのですが、その結果5万円を超えても、控除の限度額は5万円です。
たくさん保険料を払っているのなら特に、この控除を使わないではないですよ〜。保険会社や、担当のセールスレディさんに確認してくださいね!
損失保険料控除
生命保険と同じく、損失保険も控除の対象で控除が受けられます。限度額は1万円です。
例えば自宅に火災保険をかけている場合、生活に必要な家財が対象です。
ブランド品や車やバイクなどにかける保険はは対象外。それでも、実は、海外、国内旅行の損害保険やゴルファー、スキー保険などの短期傷害保険は対象なのです。
また、自動車保険そのものは損失保険の対象にはなりませんが、特約付きの自動車保険は、特約部分が控除の対象になることがあります。支払いをした時を領収書も残しておくと安心ですね。
もし、自分のかけた損害保険に控除対象の特約が含まれているのなら、保険会社から、保険料の控除証明のハガキが届いてるハズ。あれこれ悩む心配はありません。^^
なくさないように保管して、忘れず申告しましょう。
ただし、この損失保険料控除は見直され、平成20年度からは地震保険料控除が適用されます。損害保険料控除の対象でも、地震保険料控除にあてはまらないものは控除対象から外れてしまうのでご注意ください。
扶養控除
養っている子供がいるのに、自分の基礎控除と配偶者控除だけでは…と嘆かなくても大丈夫。家族のために「扶養控除」という控除が使えます。
16歳未満は1人につき38万円。16歳から22歳までは63万円。おじいちゃんおばあちゃんと住んでいたら58万円。同居していなくても生計を共にしていたら48万円の控除が受けられます。
ちなみに愛する奥様は「配偶者控除」を受けるので扶養控除は受けられません。
結婚をした、赤ちゃんが生まれたなどなど、家族が増えたときには必ず申告ですよ。12月の大晦日に生まれても、その年の控除対象にきっちりなります。
しかし、これにも「103万円の壁」が立ちはだかります。所得があると扶養から外れてしまうので気をつけて!
(追記)
平成23年度分の確定申告から、16歳未満の扶養親族に対する扶養控除が廃止、16歳以上19歳未満の扶養控除が38万円となり、上乗せ分の25万円は廃止になりました。
配偶者控除、扶養控除の特別障害者への加算が廃止され、代わって同居特別障害者に対する障害者控除が75万円に引き上げられました。
障害者控除
自分自身、もしくは配偶者、扶養家族に障害者がいる場合に受けられる控除です。
基本的に1人当たり27万円ですが、障害が特に重度であると認定されている場合(1級・2級)、40万円の特別障害者控除が受けられます。これに合わせて、配偶者控除か扶養控除も受けられます。この場合、控除額は35万円になります。
どちらも障害者手帳を持っていること、市町村長などの認定を受けていることが条件です。
寡婦(寡夫)控除
寡婦、寡夫…。聞き慣れない言葉ですよね。
シングルマザー、シングルファザー、未亡人と言い換えればピンとくるのではないでしょうか?!
配偶者との離婚などだけでなく、死別もここに含まれます。
何らかの事情で別れて、残された子供を抱えている場合に、所得が500万円以下だと受けられる控除がコレ。
特例が1つあって、旦那さんと死別した奥さん。これだけは子供がいない場合でも、控除対象となります。
再婚するまで受けられる控除は27万円。シングルマザーに限り、子供がいる場合は8万円プラスされ、35万円の控除が受けられます。
いくら子供がいても、未婚だった場合はこの控除の対象外ですよ。
勤労学生控除
勉強しながら、学費や生活費を稼いでいる学生さん、たくさんいらっしゃいますよね〜!
せっかくのバイト代も所得税まるっと掛けられていては堪らない。そんな時、ぜひこの控除使ってください!
「勤労学生控除」名のごとく、働く学生が受けられる控除です。控除額は27万円です。
勉強しているというのは何を対象にするかというと、公立、私立、専修学校など指定された学校の生徒とされています。ほとんどの学校の学生に適用可で、夜間でも通信教育でも、高校生でも、中学生でも、職業訓練生も大丈夫。
ただし、自動車学校や、趣味のスクールではNGですよ〜。
また、その年のバイトの給与収入が130万円以下(所得が65万円以下)でないとこの控除は受けられません。働きすぎにも注意ですね。
社会保険料控除
国民保険料など健康保険料のお金、年金のお金、毎月毎月結構な金額で、家計にのしかかってきますよね。
もちろんコレも控除の対象ですので、しっかり申告して控除してもらってください。
「全額!全額控除されますよ〜!!」
自分の分と配偶者の分を合算して全く問題なし。払ったことを証明する領収書や証明書は必ず残しておいてくださいね。
寄附金控除
寄付ならなんでもいいというわけではないのですが、一定の条件を満たす寄付金も、控除の対象となります。
例えば、国や地方公共団体、日本赤十字社、日本育英会、国際交流基金、学校法人など、寄付先が細かく決められています。
5000円をこえるの寄付が控除対象です。5000円ジャストではダメ。
というのは、控除額を計算するのに、
- その年に支払った寄付金の合計
- その年の総所得金額40%
これの金額の低い方から、2000円を引いた金額が控除額ですので、2000円以下だと0円になってしまいますね。
また、寄付をしたという証明になる書類も必要です。
なお、学校の入学関わる寄付、政治資金規正法に違反する寄付、寄付によって何らかの利益が及ぶと認められる寄付は全て対象外ですので、寄付金控除の対象となりませんよ。^^
小規模企業共済掛金等控除
まず、小規模企業共済掛金とは何だ?と言うところから。
企業に勤めていると退職に伴って「退職金」というものが支払われますよね。
実はフリーで働く人には、退職金というものがありません。そういった方々が加入して毎月掛金を払って、退職するときにまとまったお金を受け取れるという共済です。
つまり「小規模企業共済掛金」の「控除」。この積み立ての部分の掛金を控除できるというもの。
生命保険控除と違うのは、掛金が全額控除というところですね。
とっても手っ取り早い節税方法なのですが、解約や払い戻しにはリスクもありますので加入は十分検討してくださいね。
住宅借入金特別控除
「住宅借入金特別控除」またの名を「住宅ローン控除」
こっちのが解りやすいですよね。
ローンを組んで家を買いました。新築でも中古住宅でもオッケーです。増改築も対象です。
細かな借入額、広さ、どれだけそこに移住しているかなど事細かな条件があるのですがそれをクリアすれば、この控除きっちり受けられます。
また提出する書類も色々たくさんあるのですが、大きなローンを組んだならなおさら、出来るだけ支出は減らしたいもの。きっちり申請してくださいね!
最初の1年は申告しなくてはなりませんが、サラリーマンの場合、借入金の年末残高等証明書を勤務先に提出すれば、年末調整でこの控除を受けることが出来ますよ。