NISA(少額投資非課税制度)のメリット・デメリット
NISA(少額投資非課税制度)とは
平成26年1月1日から35年12月31日までに、新規に購入した100万円までの上場株式などの配当や譲渡益が、最長5年間、非課税になる制度です。5年間が終了したら、新たな非課税枠平衡して継続保有できます。
通常は20.315%の税率(復興税・住民税込み)で課税されいるところが0になるのですから、これはおいしい。もし10万円の収益があった場合、税金で2万円で取られていたのが、0になる。おいしい話。
しかしおいしい話には、裏があるというものです。特に、税制というものは、減税しようとすると「その穴埋めはどうするんだ」という話になるため、減税の一方で増税もされています。特例ができて一見軽くなっている一方で、必ず他のどこかで負担が大きくなっていたり、落とし穴があったり。ちゃっかりしてます。その辺をちょっと詳しく見てみましょう。
NISAのしくみ
NISAの適用を受けるためには、以下の流れでやることが必須となっています。
- NISA口座を開設
証券会社や銀行などで、1人1口座のみ - 株式などを新規購入
上場株式、株式投資信託、ETF、ETN、REITなどは対象、公社債やMMFは対象外 - 株式の売却益、配当収入が非課税!
非課税枠は1年で100万円まで。最大で500万円(100万円×5年)まで。
ざっくり書くとこんなしくみです。
NISAのメリット
- 配当や譲渡益が最長5年間、非課税になる。
これです。これだけです。利益が出た場合は、おいしいです。
NISAのデメリット
- 売却損が出たときに、他の口座との損益通産や繰越控除ができない。
株は儲かるとは限りません。損することも多々あります。NISAではない通常の口座であれば、損した場合は他の口座と損益通算したり、その年に引ききれない売却損は3年間の繰越控除ができます。
損した場合は、NISAじゃない方が断然お得です。損したのに得するって変な感じですが、実際そうなんだから仕方がありません。
NISAは、損したら損して終わり。得した場合は税金かからない代わりに、損した場合は純粋に損になります。
- NISAの口座は1人1つしか持てない。そして変える際は、年1回しか変更できない。
金融機関の勧められるままにNISA口座を作ったけど、手数料が高いから他のところにしたい、と思っても、すぐに変更はできません。変更は年1回しかできません。
- 1年に新規で100万円までしか枠がなく、あまった分を翌年に繰り越すことはできない。
今年は70万円しか新規で買わなかった、来年は30万円繰り越して130万円まで買える・・・わけではありません。繰越できないので、来年も100万円です。
- 買った銘柄を年の途中で売却したとしても、枠は復活しない。
1年間に新規で買えるのは100万円まで。買った銘柄を年の途中で売却したとしても、この枠は戻りません。1回買ったらそれで枠は終了です。
例えば、100万円分、新規購入したとします。それが値下がりして「もう手放したい」と売ることはできます。しかし、NISAの100万円新規購入という枠はもう使えないので、売ってしまってその年のNISA枠を諦めるか、塩漬けにするかのどちらかになってしまいます。
そして売却損が出ても、他の口座との損益通算はできないため、NISAで損した場合は本当に損です。
これは厳しい。
なので、買って値上がりすればいいのですが、そうじゃなかった場合は確実に損します。それがNISAです。
- 金融機関によって取り扱っている銘柄に差がある。
NISAが対象としている銘柄は決まっていて、上場株式、株式投資信託、ETF、ETN、REITなどは対象となっています。公社債やMMFは対象外です。
が、全てのNISA口座が、これら全ての対象銘柄に対応しているわけではありません。金融機関によって取り扱ってないケースが多々あります。自分が取引しようとしている銘柄がその金融機関のNISA口座で取引できるのか、これを契約前に調べておかないと、後で「えーっ?取引できないの?」ってなります。
これらを考慮して、NISA口座を選びましょう。
って、ここまで読んでみると「NISAって損だな」という感想が多いんじゃないでしょうか。実際、「NISA」で検索しようとすると、「NISA デメリット」が候補になるくらいですから、デメリットの方が目立ってるのが実情なんでしょうね。(-_-;
これを踏まえて、NISAを活用するには
値上がりの可能性が高い銘柄を新規で購入し、長期保有する
こういった場合のみ、有効に活用できるものです。短期売買や値下がり時にすぐ手放す、といったことには全く向いてません。じーっくり運用したい人向け。
相場が全体的に上昇しているときには、いいと思いますよ。(*^^*)